ちょっとずつ読んでいた樋口恭介編集の『異常論文』をようやく読み終わった。
架空の事象に対する論文集というテーマで、ちょっと衒学的すぎるものもあったけどそれぞれ面白かった。
最初から円城塔が謎の数式を散りばめた文章を書いておりフルスロットルであった。その他だと柞刈湯葉や酉島伝法の短編がよかった(通読に時間がかかりすぎて記憶があいまいだけど)。
最後の伴名練の「解説 — 最後のレナディアン語通訳」は自分で作ったアンソロジーの解説に飽き足らずついに架空のアンソロジーの解説を書き始めたぞと思っていたらとつぜんホラーな展開になって面白かった。
舞城王太郎本人のTwitterらしきアカウントが見つかってにわかに騒然となった(一人で)。
『煙か土か食い物』の初稿らしき画像が上がっていてすごい。
ツイートをさかのぼっていくと2021年の10月に本が出ていたらしいことがわかってさらに騒然となった。舞城王太郎の著書は全部読んでいるんだから新刊が出たら教えてくれてもいいと思う。そういうアプリを作ればいいのだろうか。(Twitterのメタタグ全然取得できないな)
(今の自分も含めて)社会に普通に生きていて哲学書を読むのが難しいのは問題意識が共有できないからだと思う。例えば世界の成り立ちや知識の正当性について真剣に解くべき問題として考えることができるだろうか?
大学の哲学研究室などの専門機関に属していると、そうした問題が真剣に扱われている議論の場に身を置くことになる。自動的に問題意識を共有することができて、哲学書がまさに今読むべきものとして感じられるようになる。
あと論文を書く必要があるので哲学書が直近で実用的なものになってくる。今の自分にとってのプログラミング関係のドキュメントがそれに当たる。(仕事していなくても移動中とか暇な時すら読んだりするし)
ということをVRChatのプロフィールに
Die Welt ist meine Vorstellung. (世界は私の表象である)
という一節を引用するためにショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』を久しぶりに引っ張り出してきて思った。(洒落臭いけどうってつけじゃない?)
Anunaku - 042
2021年は終盤になってから音楽をやる気が出てきたので色々聞いていた。TSVIの別名義のAnunakuがAD 93からリリースしたテクノEPが気に入ってよく聞いたりかけたりした。トランシーで魔術的なシンセ/ボーカルとちゃんと踊れるリズムがいい感じ。
カズオ・イシグロ - クララとお日さま
ノーベル文学賞作家、カズオ・イシグロの新作長編。人間とは異質なAIの視点から彼女たち独自の宗教的思考が語られるのが文学として面白かった。この物語の人間たちは自分達とAIをきっちり区別していて、それゆえに主人公が「物」としてあっさりと捨てられてしまうのが悲しかった。個人的には人間とAIを区別していいのかという問いかけのようにも思った。
ロケット商会 - 勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録
ぱっと見が感じ奇特なキャラクターと世界観で読ませる系と思いきや、各キャラクターがちゃんと世界を救うための才能を持っているという設定を明かしていく手法が上手い。「魔王」の快楽殺人鬼であり、同族である魔王を殺すために勇者になるキャラクターが好き。
無職転生 ~異世界行ったら本気だす
小説家になろうで読んでいたときに良い感じにアニメになってほしいと思っていたけど、誰もここまでやってほしいとは言ってない。という感じでちょっと常軌を逸した背景美術やアクション作画など凄まじいアニメシリーズだった。あと12クールくらいかけて完結までアニメ化してほしい。
劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
何を食べたら清水の舞台の上にデコトラを並べて盛り上がりに合わせて衝突させる演出を思いつくのか。異次元の演出の数々が詰め込まれた狂気の120分アニメ映画。「物語が終わった後もキャラクターは生きていく」というメタフィクショナルなストーリーも素晴らしい。
Next.js 12
Next.jsの12がリリースされた。フレームワークで使っているコンパイラを全く別言語で書かれたものに入れ替えるという大改修であった。Rustを使うことでビルドが従来の5倍早くなったとのこと。仕事終わりにNext.jsのカンファレンスを見てこれが発表された時は震えた。
m1chie - Music Stellar Lake
後半からOculus Quest 2を買ってVRChatをやっていた。最初はAWSにEC2インスタンスを立ててやっていたけど2021年終わりにはついにゲーミングPCを買ってしまった。このワールドは星空の下の湖で流した音楽に合わせてパーティクルが輝くというもので、パーティクルの光り方や色を操作できるのが面白かった。その光の中を空飛ぶ鯨に乗って飛行するととても楽しい。
Notion APIのアップデートで引用やコードブロックが取得できるようになっていたので実装してみた。
0.2.2 → 0.4.9でかなりアップデートが入っている様子で他にも画像などいろいろ取得できそう。APIで取得するブロックの種類の型定義をVSCodeでみると以下のようにいろいろ入っていた。
(property) type: "paragraph" | "link_preview" | "equation" | "heading_1" | "heading_2" | "heading_3" | "bulleted_list_item" | "numbered_list_item" | "quote" | "to_do" | "toggle" | "template" | ... 18 more ... | "unsupported"
詳しい仕様は以下
コードブロックのシンタックスハイライトについてはこちらを参考にした。
以下スタイルのテスト用
Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation ullamco laboris nisi ut aliquip ex ea commodo consequat.
const codeBlockTest = () => {
const hoge = 'hoge';
return hoge;
};
let rust_test = Vec::<String>::new();
def python_test(){
test = 'test'
return python_test
}
select
*
from
sql_test a
inner join test_table b
on a.hoge = b.fuga
where
a.hoge = 'hoge'
and b.fuga = 'fuga'
;
Notion APIでコードブロックなども取得できるようになっているらしいので週末見てみよう。いい感じにできたら記事にもしたい。
しかしYYYYMMDDに1が多すぎる。職場でもYYYYMMを書くときに202111は打ち間違い頻出でよくないという評判だったし、20211111はもはや何個1を書けばいいのか全然わからない。2022年になればYYYYMMは202211になるので多少マシだろうか。
サボっている間にFC Barcelonaの監督にチャビ・エルナンデスが就任していた。18/19シーズンからしか見ていないので残念ながらチャビの現役時代を見ていないけど、黄金期の司令塔が監督としてどんなサッカーをするのかとても楽しみ。
サッカーネーションズリーグのスペイン対イタリア、スペイン対フランスを見た。イタリア戦は前半でイタリアに退場者が出てしまったのが残念だったけど、いずれも好ゲームだった。どのチームもプレッシングが整備されておりみんなサボらず走るし、それに対してビルドアップもよく構築されている。DAZNの解説の人が言っていたように代表チームでこのレベルの試合ができるのはすごいと思った。
選手ではスペイン代表で17歳のガビがいずれのゲームも先発していたのが驚きだった。イタリア戦ではビルドアップの出口として中間ポジションで前を向き、攻撃の起点になっていた。フランス戦では相手が屈強な2ボランチで流石にフィジカルで圧倒されていた気もするけど、降りてきての組み立てやプレス回避、ボックスへの抜け出しではいい活躍をしているシーンも多くあった。バルセロナでも是非その才能を見せつけて欲しい。インサイドハーフにぺドリとガビが並んでボランチがデヨングとか夢がある。
『無職転生』のアニメ2クール目が始まった。やはり背景がとてつもなく書き込まれており、異世界への没入感が他作品とは一線を画している。作中最もうるさいキャラクターのキシリカ・キシリス登場シーンは作画のテイストまでうるさくてよかった。小説家になろうで原作を全部読んでいてとても好きな作品なので、このクオリティのまま最後までアニメにならないだろうか。
映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』がAmazonプライムで利用できるようになっていたので見ていた。衛人の戦闘シーンの動きなど素晴らしく、コロナ禍で劇場に見に行けなかったのが悔やまれる出来だった。浜辺での長道とつむぎの逢瀬のシーンは夕方から夜へとシドニアの情景が移り変わっていって美しい。主題歌のCAPSULE - ひかりのディスコもとてもよかった。
終盤にBLAME!に出てきた重力子放射線射出装置や超構造体が登場して嬉しかった(原作未読)。弐瓶勉作品は用語が共通していて面白い。『人形の国』にもヘイグス粒子などが登場している。
伴名練が編集した『日本SFの臨界点』アンソロジー三冊を読み終えて、むしろ彼の書いた小説を読みたくなって『なめらかな世界と、その敵』を再読していた。表題作と『ひかりより速く、ゆるやかに』は随所にSF的想像力が散りばめられていて、アンソロジー各部巻末の長大な解説と相まってSFをいっぱい読んできたんだなぁというのが感じられた。アンソロジーの解説に『ひかりより速く、ゆるやかに』は中井紀夫の『暴走バス』、『ゼロ年代の臨界点』は石黒達也の作風が元ネタとあった。そうした背景を踏まえて再読できたのも良かった。『ひかりより速く、ゆるやかに』で叔父の蔵書に『山手線のあやとり娘』があったと書かれているけど、これも中井紀夫の短編集のタイトルらしく仕込みが細かいなぁと思った。